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本屋さんの匂い

わたしのこと

 先日いつものスーパーに行った時、3階にある本屋さんにも立ち寄った。

雑誌の新刊が出ているから、毎月必ずチェックをする。

品揃えが乏しい本屋さんだが、わたしの徒歩圏内にはここしかないので仕方がない。

(以前はもう1件あったが、閉店してしまって残念な気持ち。)

本屋さんの入り口に立つと、プワ~ンとあの本屋さんの匂いがした。

この匂いを好きだという人は多いだろう…わたしもそのひとりだ。

他の人がどうして好きなのかは知らないが。

 大阪に住んでいた幼少の頃、わたしは私立の幼稚園に通っていたが、1年間幼稚園生活を送って2年目の年長さんになった時、引っ越しをすることになり退園することになった。

応募していた新しい団地に入居が決まったのだった。

でも、その引っ越し先では新しい幼稚園にも保育園にも入園することをせず、わたしは6歳にして浪人のような時期(約1年間)を過ごすことになった。

まあ、それはわたしにとって別にイヤな事ではなかった。

通っていた幼稚園の1年目の「すみれ組」は担任の先生も若くきれいで、まあまあ機嫌よく通園していたが、2年目の「ひまわり組」は男のようなおばさん先生が担任で馴染めず、連絡帳なるものをどのタイミングで提出するのかもまごまごしているうちに退園することになって、清々した気持ちがあったからだ。

団体行動が苦手なインドアの性格は、すでにここら辺から出来上がっていったと思われる。

兄やいとこくらいしか遊び相手がいない、浪人生活のわたしにあてがわれたのは「小学1年生」という付録付きの雑誌や本の数々、子ども用のスケッチブック。(リカちゃん人形などのおもちゃ類も買ってもらっていたけれど。)

母がよく周りの人に「本を読むか、紙とえんぴつを持たせておけばおとなしい」と、わたしのことを説明していたから、こちらもそういう風に合わせていたかもしれない。

そんなことだったので、本屋さんは幼少の頃から馴染みがあるのだった。

本屋さんの匂いは、この頃から変わらず、あの匂いだ…。

 

 浪人生活を経たわたしは、いざ小学校に入学という時とても不安な気持ちになった。

「わたしのようなのが勉強についていけるのだろうか…」と。

すでに7歳前でこの悩みである。

付録付きの雑誌「小学1年生」を1年間読破したことと、2つ上の兄の存在を頼りにするしかなかった。

…入ってみたら、たいしたことではなかったのだけど。

 しかしそれも束の間、小学1年生の1学期が終わった夏休みに、両親は田舎にUターンするというわけのわからない選択をするのだった(新しい団地に越したばかりではないか…?)。

山に囲まれた田舎に引っ越すと、本屋さんは近くになかった。

車で行くと食料品の店はあっても、本屋さんはなかった。

(なので、学校の図書室が大好きになった。)

年に何度か市街地へ買い物に行った時には、兄と最初に本屋さんに走ったものだ。

街の小さな本屋さんに入ると、プワ~ンとやっぱりあの匂いがした。

「本を買うことには、出し惜しみをしない」主義の母えいこさんだったので、マンガだろうが欲しい本は買ってもらえた。

「本が好きで読みたいマンガや本が常にあって、それを買ってもらえて幸せなわたし」が本屋さんの匂いに包まれている。

それが本屋さんの匂いが好きな理由…なのかしら、よくわからないけど。

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