ねこのククちゃんが窓際に座って、何かを目で追っている。
こういう時は大抵、虫か、何かがいるのだ。
「なになになになに?」と、ククちゃんの目線に近寄ってみる。
プーンプーンとガラス窓にぶつかりながら飛んでいるのは…。「あっ、蚊やん!」
蚊はいけない。
わたしは蚊に刺されやすく、寝ている時に襲われたら安眠妨害だし、みのちゃんも「蚊がおる‼」とキレる体質なのだ。
だから、蚊は許せない。
手を広げて「パン!」と仕留めるつもりが、それが全然ダメで、「パン」の音も出ない。
…右手の反応が悪すぎるのだ。
自分でビックリするほどのスローモーさ…。
蚊はプーンとゆっくり飛びながらも、不規則な動きで途中ワープしたかのように、フッと消えてしまった。

…ああ、蚊をやっつけることができない手になったんだな…と思い知る。
右手首の橈骨遠位端骨折が原因だ。
あれから約1年、すっかり骨はくっついて日常生活に問題はないのだが。
100パーセント骨折前の右手に戻ったわけではないのだった…。
例えば、お店で小銭を扱うのがやりづらい。
雑巾がけがやりづらい。
ボールが投げづらい。(投げなくていいけど)
手先がぶきっちょになって、ポロッと物をひんぱんに落っことす。
…等々、自分にしかわからない行動レベルなんだけどね。
時々みのちゃんに「どんくさい」と言われる。
老化現象による衰えは、徐々にやってくるけれど…。
骨折の後遺症は、頭では「できる」と思ってるのに、「あれ?できない、おかしいな」となることがたまにあって。
それは自分でもビックリというか、ガッカリなことだ。
あ、でも嘆いてないで、できることをしようと思っているし。
新しくできるようになることも、あるかもしれないものね。
それにしても、家の中の蚊はどこにいるのだろう…。

コメント