四十九日法要のため、再びの帰省となった。(金~日曜日にかけて)
5月末の葬儀の際は…喜怒哀楽の感情で脳内が嵐のようだったが…今回は気分的に少し余裕を感じる。
現地では、パパの親類縁者の中に身を置くので…人見知りのわたしには「アウェー感」が少なからずある。…でも、60歳を目前としたこの歳で、神経が図太くなっているのであろう…わりと平気になった。それと、パパの地元在住の従妹(いとこ)さん達に、いつも親切に助けて頂けてるおかげ…。
あっ、もしかしたら!苦手な年配ジジババの方たちがいなくなったせいかな…⁈年を取るってこういう事かもね!
自宅での法要後、墓地に行って納骨式も行われた。
6月の暑さはあるけれど天気が良くて、納骨が済むと皆の気分が落ち着いたように見えた。
法要中わたしは、見かけない若者がいるのに気づいた。顔が小さくひょろりとした青年。前回の葬儀の際には見かけなかった顔…「あの青年は誰だろう…?」
パパに聞いたら、パパも「?」と小首をかしげている。
お昼になり、忌明けの宴となった。
土佐の皿鉢料理を囲み、男衆はビールを飲み賑やかにしている。女どもは台所で井戸端会議だ。
葬儀の後の精進落としの席でもそうだったが、親戚が久々に集まることができたとあって、皆嬉しそうに話に花を咲かせるのだった。時には大きな笑い声も。
でもそれが、亡き母「スガちゃん」にとっても、きっと嬉しいことに違いない。「まあ。まあ。食べて飲んでゆっくりしいや」と、微笑むスガ母の声が聞こえてくるようだもの…。
で、先ほどの青年。
彼もまた、周りの誰が誰なのか分からない風で…キョトキョトしているのだった。
なんでも16年間名古屋にいて、この度移住してきたらしく、田舎の方言も知らない様子。
聞くところ「ノブおばちゃんの孫」なんだそう。ノブおばちゃんは知っている。なので…一応親類らしい。孫の彼の名も「ノブ」。ばあちゃんからもらった名か。
ノブはビールをたくさん飲んでいる。りかちゃんという親戚のお姉さんを気に入ったようで、「きれいっすね」なんて言いながら、どんどんお酒を飲んでいる。
数時間後とりあえずのお開きとなり、酔っぱらいのおじさん達は去って行ったが、「ノブ」は帰る様子がない。なぜ帰らない?
わたし達家族は既に喪服から着替えているのに、喪服を着崩したノブだけがテーブルに残ってビールを飲んでいる。
わたしが食器を片付けながら「ドーナツ食べる?」と聞いたら「食べるっす」と言う。「どれがいいかしら、これとこれ…」と袋から出すと、「どっちも食べる」と言う。「お茶飲む?」と聞いたら「今度は焼酎を」と言う。
親戚だと判明したので、気のいいパパが楽しそうに相手をする。ノブも「自分の知らない親戚がこんなにいるとは…!」なんて言っている。野球の話になって、高校の野球部のグラウンドを見に行くことになった。なぜかわたしも同行する。
広い手入れされたグラウンドを見て「オレもここで野球したいっす!」なんて言っている。あんなに飲んでいるのにヘンに酔っぱらっている風でも…ない。楽しそうだ。

帰宅後、あとかたずけの皿鉢料理の残りをひとまとめにしていたら、パパが、一人住まいのノブに「それ晩ごはんに持って帰り?」と言うので、新しいお皿を持ってきてやった。
すると、「これも…これも…」と遠慮なく寿司やおかずを盛った。そして、パパが車で送って行った。ノブよ…あとでお皿返しなよ?大丈夫か?
35歳で田舎に移住したノブ。地元地域の消防団に早々からスカウトされているノブ。地域の活動にも熱心に参加して、その後の宴会を楽しんでいるらしい…ノブ。
周りの人々に、このまま可愛がられていくのか、それとも疎んじられるのか…。この先が見てみたい。
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