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再びの「窓ぎわのトットちゃん」

本・映画・テレビ

 最近、「徹子の部屋」を録画でセッティングしている。

この長寿番組…今までは、たまたま観たり観なかったり…だったけど、近頃なんだかおもしろい。

…というのも徹子さんが、なんともう90歳になられていて。なので、日替わりの年下のゲストが緊張したり恐縮したり…そんな様子が見受けられる。オドオドと気を使っている様子がおもしろいのだ。芸人のゲストの時もそう。

「徹子の部屋」の過去の映像を見ると。若い徹子さんは、やや前のめりに早口で同年代や年配のゲストの相手をし、巧みに話を聞きだしている。

それが、現在はドーンと身動きをしない(できない?)黒柳さん。スターウォーズのジャバ・ザ・ハットのよう。なので、ゲストの誰かが「面接みたいに緊張する」とか、「徹子の部屋に出られて家族が喜びます、おかあさ~ん!」などと手を振ったりする、特別な番組になっているよう…。

YouTubeの「徹子の気まぐれTV」というのもいくつか観たが、これがまたおもしろい。

焼き肉や、回転寿司屋、ファミレスのココスなどに行って、爆食する徹子さん。まるでパクパク食べるお人形のようである。リカちゃん人形のようなヘアスタイルの徹子さんは、「それ、食べる」「おいしい」「食べる」「おいしい」「食べる」「どうもありがとう」の短い言葉を繰り返すばかり。食レポはしない。

時々(いや、いつも)、YouTubeの撮影ということを忘れて普通にご飯を食べているだけになるのが、なんとも可笑しい。

お世話係は、ビーズデザイナーの田川さんって人。⤵

わたしの本棚には「窓ぎわのトットちゃん」がある。黒柳徹子さんの自伝。

昔、母が流行りに乗って買ったのだろうが、後ろのページにわたしの名前が母の字で記されていた。出版年を見ると、わたしが17歳の時だから…反抗期真っ只中の娘への贈り物だったのか。…まあ、本好きのわたしはもちろん、すぐに読んだことだった。

表紙もページも茶色くなっている「窓ぎわのトットちゃん」を42年ぶりに、今一度読んでみることにした。

まず、改めて「いわさきちひろ」さんの絵に感動する。子どもの身体の線を、こんなに愛らしく描ける素晴らしさよ。そして、装丁を「和田誠」さんが手掛けていることを新たに知った(平野レミさんの夫ね)。文章の書体が独特で、子どもっぽい丸みを帯びた文字をあてがっているのは…さすがだなあ。それは、トットちゃんの喋り声がするような文章にとても似合っていて…。これらがベストセラーの要因になったに違いなかった。

内容は徹子さんがトットちゃんだった頃、「トモエ学園」というちょっと変わった学校に通っていた時のお話。(前の学校をトットちゃんは退学になったのだ。)

トットちゃんは次から次へと小さな事件を起こす。中でも、トイレにお気に入りの財布を落としてしまい…自ら「ひしゃく」で汲み取って拾おうとしたり、別の日にはその汲み取り口にドボンと落ちたりして、母親の目線のわたしは眉をひそめてしまう…。

また、シェパードのロッキーとふざけて「狼ごっこ」をしていて、興奮したロッキーがトットちゃんの耳を嚙みちぎって!…耳がブラブラしているのに「ロッキーを𠮟らないで!ロッキーを𠮟らないで!」と、手で血まみれの耳を隠すトットちゃん。ロッキーがよそにやられると思って、泣くのをずっと我慢している様子は…耳も心も痛くなる。行動は突拍子もないのに、事の真髄はわかっているトットちゃんなのだ。

現在の神経質で通り一辺倒な時代とは違って、良いも悪いもおおらかで伸びしろのある時代ではあったのだろうと思う。トットちゃんは心豊かに成長し、「黒柳徹子」という立派な大人の女性になった。

だけれど、そんな無邪気な日々のお話にも戦争が襲うのだ。

風変わりな「窓ぎわのトットちゃん」の楽しいお話は、それでも「死」や「戦争」が近くにあり、ラストは「トモエ学園」が空襲によって焼け落ち、トットちゃんは疎開列車で運ばれて…という色のない終わり方をしている。

「ザ・ベストテン」の司会や、タレントや福祉活動やらを経た黒柳徹子さんは、90歳になった今、あの頃の「トットちゃん」に戻りつつあるのではないか。

…そう。だから最近トットちゃんが気になるわたしなのだ。

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