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ももちゃんの完治は。

猫のこと・犬のこと

 8月9日(金)

 開腹手術から2週間が経ち、元気を取り戻したももちゃん。

思い返せば…苦しかったなあ、ももちゃんよ…。

手術日を含めた入院は5日間だったが、そこに至るまでの5日間(実際はもっとかも…)腹痛で苦しんだのだから、合わせて10日間以上の苦しみだったわけだ。長かったねぇ。

バディであり、マミィであるみのちゃんの心労はマックスとなり、人生で1番辛い出来事になった(本人談)。

もちろんわたしにとっても…でも、60年も生きてりゃ辛い事はそれ相当にあるわ。人生は修行よ…。

さあ!2週間経って、いよいよきょうは抜糸の日。

 Y医師は、ももちゃんの身体を助手の女の子と器用に「それっ」と一瞬でひっくり返して、ピンセットとハサミで丁寧に抜糸をした。助手の女の子とみのちゃんがももの身体を押さえている。わたしはももの顔を指で撫でて気をそらせる。

その流れでエコー検査も。

ぐるぐるぐるぐるももちゃんのお腹に器具を当てている。そうしながらY医師は、モニターに映るモノクロのはらわた画像を覗いている。わたしも食い入るようにそれを見る。Y医師が何かを探すように念入りに…時間をかけてぐるぐるぐるぐる…。『お願い、探さないで…見つけないで…』わたしは不安で気が気でない。

みのちゃんはももの上半身を押さえているので画面を見ない。ももの顔に顔をうずめている。そう、みのちゃんは見ようとしない。見たくないのだ。

手術後の説明の時(7月25日)も、みのちゃんはオペ内容の写真からプイと目をそらした。…なので、わたしが目を皿のようにして見るほかなかった。そこには切除された小腸の腫瘍部分があり、素人目で見ても「悪いもの」とわかるものだった。Y医師の言葉からも「悪性」と察したみのちゃんとわたしは…肩を落とした。

数日後、病理検査の結果が出て「悪性リンパ腫」と聞こえたような気がするが…もはや驚きはなく…身体と気持ちがキュッとなった。

その時はただただ…ももを家に連れて帰ることしか頭になかったし。

エコー検査を終えてY医師が、「今のところは…うん。…だけど他にあやしい部分は見受けられる。」と言う。「だいじょうぶ」とは言ってくれない。

…そう。ももちゃんに「完治」はないのだ。

みのちゃんが帰りの車の中で「抜糸したよ、よかったねぇ」と、優しくももに声をかける。そこに笑顔はない。

西の空に沈みゆく夕日はでっかいオレンジ。

「わぁ、きれいねぇ…」熟したみかん色に輝く太陽が、わたし達3人を照らしている。

一日一日その時その時…を生きてゆくのだ。

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