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緑の中でプレイバック

暮らしのこと

 朝、リハビリに行く。

小雨降る中、歩道と車道の間にあるツツジの生垣の剪定が行なわれていた。

ツツジの花も終わったから、容赦なくチェーンソーで「ウイーン、ウイーン」と刈り込まれ、散髪したての角刈りのように仕上がっている。

ももちゃん散歩の公園も、ヒメジョオンが背を伸ばして小さな花を咲かせていたり、シロツメクサの花がじゅうたんのように広がっている。

いろいろな草が背を伸ばしているので、「ももちゃんのために、ここも刈り込みしてもらわないとな。」なんて思いながら、傘をさしたわたしが公園内に入ると、またあのお爺がいた。

雨を避けて屋根のある場所のベンチに腰かけ、きょうもお酒を飲んでいる大竹まこと似のお爺。

以前、パパとふたりでももちゃん散歩をしていた時、通りすがりにももちゃんが「ウワン!ウワン!」と、そのおじさんに吠えてしまった。

その後、遠く離れた所からも「ウ~ワン!ワン!」と吠えたものだから、おじさんが怒って「うるさーい!」、「ウワン、ウワン!」「うるさーい!」と口げんかになってしまったのだ。

わたしは、当時まだ幼かったももちゃんをギュッと抱きかかえた。

そして「そっちがうるさいんじゃー!ボケー!」と言いたくてたまらなかったのだけど…。

それからそのおじさんはわたしの中で「あのお爺」となった。

それまでは気が付かなかったけれど、あのお爺はその公園のベンチで、毎日のように缶のお酒を飲んでいるようだった。

ももちゃんが口げんかをしてから、2年近くなるだろうか。

あのお爺は冬の寒い朝も、夏の夜も、わたしが通る度かなりの確率でそこにいるのだ。

雪が舞う日もいたので、桜が咲いた日に会った時は、心の中で「よかったじゃん」と言ってあげた。

ももちゃん連れの時は、吠えないようにヒヤヒヤして遠くを歩くようにしている。

こんな雨の日もいるのだな…と思い傘の影に隠れて通り過ぎた。

 リハビリのマッサージを受けながら、窓の外のテラスを心静かに眺める。

テラスを囲むたくさんの植物が雨を喜び、ここも青々と伸びていて5月を感じさせる。

ふと目に付いたひとつのプランター。

名も知れぬような草花が生えているだけだが、何だか自然で可愛らしい。

ああ、こういうのをひとつ置きたいな。

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