…つづき。
ウズラの卵から孵(かえ)ったピー子は、とても小さかった。こんな生き物、触ったことがないわ…。
だってウズラの卵って小さいもんね。
手のひらに乗せても重さを全然感じない。身体のほとんどがふわふわの羽毛だから。
それでもダンボールの中を動き回る速さと言ったら!ピーピーピーピーピーピーピーピーひっきりなしに鳴きながら!せわしない!
これは動画の一時停止画像です。⤵ 右往左往するピー子。

「ピーピーピーピーピーピーピーピー」何かを探しているの?…わたしは困ってしまった。どうしていいかわからない…。
オロオロしていると、えりちんが「とりあえず水を飲ませないと」と協力してくれた。水に溺れないように器に小石を入れたり。えりちんが何か食べさせてくれている写真があるけど、取り急ぎ何を与えたのか?それさえも記憶がないほど、わたしはテンパっていた。
翌日、頼りになる息子ファミリーは東京へ帰ってしまった。
…ひとり残され不安。このダンボールのままでは中のピー子の様子が見えないし、かと言って蓋を開けっ放しにするわけにもいかない。それでなくても4匹のねこ達が「どうしたどうした」と異変を察知しているのだから。
ピー子の環境をどうにかしなければならない。なにせ孵化した後のことなんて何にも考えていなかった。正直言って…孵化するなんて思っていなかった。
明日の金曜日の仕事を終えるとみのちゃんが帰ってくる!それから対策を考えなければ。ヒヨコの飼育はどうするのだろう…?里子にに出すか?みのちゃ―――ん!
しかし。
金曜日の午後、あと数時間でみのちゃんが家に到着…というところで不幸が起きてしまった。せわしなく動き回るピー子は敷いてる物の隙間に潜り込み、出てこれなくなって死んでしまったのだ。
さっきまでピーピーピーピー鳴いてたじゃないの。
あっけない最後にわたしは力を無くした。
わたしの手のひらに乗せたあの可愛い命…簡単に死なせてしまった。わたしのせい。
命を安易に誕生させた無責任さ。それを失った虚しさ。自己嫌悪感が残った。
すっかり小さく萎(しぼ)んでしまったピー子の亡骸を…みのちゃんに見せるわけにはいかず、ベランダの植木鉢の土に埋めた。
その後帰宅したみのちゃんは、何も言わなかった。わたしを責めることも、もちろん無かった。でも、とても気まずい空気。お互いに気持ちが疲弊した。
後日の、とある日曜日のこと。
ちびまる子ちゃんの来週の予告で『まる子、ウズラの卵が欲しいの巻』だよ、お楽しみにね!なんて言っている。みのちゃんとふたりして苦笑い…。まる子もどうやらウズラの卵の孵化に挑戦するらしいわ…。
やめときやめとき。
それ以降…わたしはウズラの卵が食べられなくなった。(今は出されたら食べるかな。)
10年前の9月1日~3日の出来事だったので、この機会に思い出してみた。
…そしてきょうもとても暑いのだ。



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