ククちゃんは、わたしから「怪獣」だの「妖怪」だの、酷い言われよう。
大きな目をしたアメリカンショートヘアーの美猫だというのに…。
まず、鳴き声が怪獣。「ギィエエー、ギィアアー」と南の島のジャングルにいる、けたたましい鳥の鳴き声のよう…。「ニャー」というところが「ギャー」なのだ。
同じアメショーのおじい猫グーグーの方が、見た目が怪獣っぽいのにもかかわらず、意外と「ミャーミャー…」可愛い仔猫のような鳴き声。
そして何と言ってもククちゃんは、わたしに襲いかかってくるところが「怪獣」で、わたしが逃げても…策を練って「ウギャー!」と出没するあたりが「妖怪」なのだ。「イヤーッ!」と悲鳴をあげるわたし。
ククは甘嚙みのつもりか知らないが、血が滲むくらいの歯の立て方。手加減しているつもりのようでも手の爪は、わたしの皮膚に1ミリくらいは食い込む。痛いので放り投げる。(蹴り飛ばしはしないけど)…戦いだ。
ククは何故?わたしばかりを襲うのか…というと。ククは常に「おいしい物(ちゅ~る)」を求めていて、わたしがねこや犬の「ごはん係」だから。なので、みのちゃんやパパを襲うことは…ない。
他のねこ達は長い眠りの後、各自適量のごはんを食べ終えると、まったりと過ごしているのに、ククちゃんは起きている間、常に「おいしい物」の事ばかり考えていて、わたしにまとわり付く。
そのしつこさと言ったら…。昼夜関係ないので、わたしが眠っている時間でも容赦なく「ギャーギャー」とアピールするのが困ったところ。
「夜中にごはんをもらえるなんてことが、まかり通ると思うなよ!」と、わたしは屈したくない。なので、眠る部屋のドアを閉めたり、最近はククちゃんの方を部屋に閉じ込めたりする。
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先週、わたしは2日間旅行で家にいなかった。
それで「ククちゃんは?どうだった?」と、みのちゃんに聞くと。
「一回、ギャアー‼とものすんごい叫んで、それからどこかにこもって、ずっと出てこなかった」…らしい。呼んでも返事もしなかった…と。
なんだか少しかわいそう…。抱っこでもしてあげたいが、抱っこが大キライで甘え下手なククちゃんだ。ただ恨めしそうな顔でわたしをにらむククちゃん。
再び元通りの生活になった。
いつものように、ククちゃんがうるさくするので部屋に閉じ込めた。
しばらくして部屋を開けると、もわ~っとおしっこの匂い!
「やられた!」ククちゃんは布団におしっこをする悪癖があったんだった!…もう何年もされてなかったので忘れていた。
みのちゃんは「ククちゃん、おしっこしたかったんやー可哀想に」なんて言うけど、わたしはククちゃんの「腹いせ」「復讐」だと思っている。
わたしに対する一連の恨み…そうに違いない。家に居なかったり、閉じ込めたりしたから…。
恐るべし…ククちゃん。どうしても爪痕を残そうとするのだな。
反抗期の娘のようなククちゃんだ。
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