晴れて穏やかなお天気。ももちゃんの朝散歩に同行しよう。
車で10分程のいつもの海岸を散歩して、帰りにパン屋さんに寄ってもらおう。
春の海もまた穏やかではあるが…潮が東から西へと流れているのが見て取れた。満ちているのか引いているのか…。
この湾の左側(東側)の入江が、亡きポコちゃんの散骨をした場所。なのでぐるりと歩いてそこまで行く。
海水の底を覗き込んだけど、ポコちゃんの存在は「無」になっていた。それでいいのだ、と思う。
みのちゃんがおもむろに、わたしが背負っているリュックの中からバレーボールを取り出し、サッカーをするようにボーン!と蹴って飛ばした。…喜んで追いかけるももちゃん。
ところが、ボールはコロコロ転がって波の中に入ってしまった。
それでも追いかけるももちゃん。ああ…。
波は東から西へと流れているから…あっという間にどんどん湾の中の深い場所へと流されていく。もうどうすることもできない。
「あ~あ、もっちのお気に入りやったのにィィ~」と蹴った張本人のみのちゃんが、ももちゃんの代弁をするかのように言う。
そう、あのボールはボロボロで表面がめくれたりしているから、ももちゃんにとってはそこを咥えることができて良かったのだ。
ボロのボールであったとしても、こんな広い海の中でポツンとこれからずっと漂流するのか…と思うと、罪悪感と共に寂しいような…悲しいような気持ち。
しゅん…とあきらめて、波打ち際から離れた公園の水飲み場に行くことにした。
振り返って遠目から見ると、ボールが湾の中央を流されているのが小さく小さく見えた。
ももちゃんに水を飲ませたりしてから再び湾を見ると、ボールの行方が分からなくないほど遠くへ流されたようだった。…いや、待てよ?もしかしたら、西へ西へと流されて再び波打ち際まで行ってるんじゃないの⁈
砂が丘のようになって見えない、向こうの場所にボールがあるのかもしれない。わたし達は砂に足を取られながらも走って、右側(西側)の波打ち際を目指した。
近づいて見ると、やはり!ボールはもう手に届きそうな所まで波に乗ってプカプカと泳ぎ着いていたのだ(湾の中を100mほど横断したってわけ)。ももちゃんとみのちゃんが喜んで、真っ先に波打ち際にかけ寄った。
でも「そこは、ばあばが取る!」と後ろから大声を出した。振り返るふたり。
わたしは、頼りない細い木の枝を数本拾って、ノタノタと波の中に入った。そう、わたしは長靴を履いているのだ。ももちゃんは裸足だし、みのちゃんはスニーカーじゃないの、退いて退いて!もう。
棒でツンツンたぐり寄せ、バレーボールはももちゃんの元に帰って来た。
「ありがとう、ばあば」
めでたしめでたし。
お楽しみのパン屋さんに寄った。
自分用にはオレンジのタルトをおやつに買った。カンパーニュやミルクパンは残念ながら冷凍庫で保存するため。冷凍できるパンを選んだのだ。
みのちゃんは、調理パン2種を自分の朝ごはん用に選んだ。
そんなこんなの朝散歩、おしまい。
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