わたしは、なるだけ知らない人と関わらないように生活している。
こちらから話しかける事など、滅多にない。
他人と接するのは病院や買い物において、必要最低限に会話をするだけだ。
他人から不愉快な扱いを受けるのはイヤだし、またわたしも他人を不愉快にさせたくない。
そう思って、なるだけ空気のように行動している。
なのに先日、こんな出来事があった。
お昼にパパと、ロッテリアのハンバーガーをテイクアウトしようという事になった。
ロッテリアはいつものスーパーの中に入っているが、あまり利用することはない。
ハンバーガーを食べるとしたら、モスバーガーに行くことが多いからだ。(遠いけれど)
「まあ、たまにはいいか」と、店の外に置いてあるメニューを見て「これとこれ」と決めて、店内に入った。
日曜日なのにお客は少ないロッテリア…。レジも空いている。
アルバイトであろう女の子がレジカウンターで頬杖をついている。背の高い男の子が、手洗いボウルの前で何かグイグイ飲んでいる。…よっぽどヒマなのだな。
注文レジに行くと、スッとその女の子が「いらっしゃいませ」と、わたしの前に立った。
アイメイクに力を入れた高校生かな。
「これとこれ、持って帰ります」と注文して支払い、番号が書かれた三角のやつを渡された。
レジ近くの席にパパと並んで座って出来上がるのを待つ。
奥の厨房で作る男の子と、さっきの男の子とレジの女の子、3人で回しているようだ。
男の子同士で何やらしゃべりながら作っている。
レジの女の子は、次のお客も来ないしすることが無いので、また両手で頬杖をついている。
背が小さくてレジ台の高さに肘がくるようで、背中を曲げたりせず頬杖がつけるようだ。
小声で「頬杖…」とパパにささやくと、「ああ…」と苦笑い。
すると今度は、いくつかある番号プレートをいじり始めた。わたしが持たされている三角のやつ。
それを横倒しにして、積み木をし始めたのだ。
3つ、4つとタワーにしている。
「遊んでる…」とパパを小突いて教えると「信じられん…」と呆れている。
しばらくして注文したハンバーガーが出来たようで、男の子が袋に入れて、積み木をしている女の子の後ろを通った。
その時、男の子はタワーを見て一瞬驚きクスッと笑った。女の子も「えへへ」と笑った。
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その瞬間、わたしは「ぷちり」とキレれたようだ。
男の子に「お待たせしました」と渡された時、彼にだけ聞こえる声で「頬杖ついたり遊んだり、態度が悪すぎる」と言ってのけた。(わたしったら…)
男の子は、今なお積み木をしている女の子をちらりと見て「…失礼いたしました」と言った。
お願い。わたしは、そんなこと言いたくないのだ。
あんたが、後ろ通った時に注意すれば言わずに済んだ。あんたもバイトか。
どうせふたりとも「くそばばあ」と思っているだろう。
でも言わずにはいられなかった。
どうしても言いたいことは言ってしまうところのある、こらえ性のないわたしだ。
帰り道、ぷらぷら歩きながら「ロッテリアは…めったに行かないから…いいんだ…」と、自分に言い聞かせるようにパパに言う。
パパは「うん」とぷらぷら歩きながらうなずいた。
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