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干し椎茸に田舎の山奥を想う

食のこと

 大根と人参と練り天を短冊に切った煮物を作ろうと思って。

晩ごはんの副菜はもちろん、お弁当にも入れられる。

あ、そうだ前に買った干し椎茸があるから、これも入れたら美味しかろう。

それにしても干し椎茸ってどうしてこんなに高価なのだろう…といつも思う。

スーパーで手に取ると「こんなに軽くてちょっとしか入ってないのに!」と憤る。

なので、わたしが買うのは不揃いのお買得品。

 子ども時代を四国の山奥で過ごしたわたしは、椎茸に囲まれた環境だった。

あちこちの杉林の中に椎茸が栽培されていたのだ。

近くに住む伯母が作業場の小屋で、機械を使って椎茸を乾燥させていたのを見たことがある。

その前は煙草の葉を乾燥させていたのも見たことがあるから、りっぱな乾燥機を持っていたのだろう…知らんけど。

子どもの頃のわたしにとって「干し椎茸」は何の魅力もない食べ物だった。

台所の天井からぶら下がったカゴの中には、いつも干し椎茸や切り干し大根があり、「何かおいしいおやつはないか」と探す場所には、いつもそれらの乾物が独特の匂いを放っていた。

お目当てのおやつの買い置きは見つからず…わたしにとって乾物は残念な食材であった。

また、干し柿や干し芋にしても「美味しい」と思えなかったのは、市販のお菓子の魅力に取りつかれていたからだろう。でも、次々に目新しいお菓子が発売された時代なのだから、仕方がなかった。

椎茸も大根も柿も、干すことで栄養価が高くなり旨みが凝縮される。山菜のゼンマイも然り。乾物は保存食であり、子どものわたしにとって残念なそれらは高級食材なのであった…。

なので、そんなわたしもベランダで、大根の皮やスライスした柿をざるに並べて干したりしている。

…大人になったものだ。

田舎の山奥にあったおうちを思い出して描いた。

青い屋根の小さなおうちだった。

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